これほど映像が力を持った映画というのは、近年珍しい。そしてこの作品の監督は、これがデビュー作というのだからなおさら驚く。冒頭の1秒から、ラストのエンドクレジットまで、まさに映画である。
この作品が描くのは拷問だ。それも完膚なきまでの、執拗な拷問シーンのオンパレード。飛び散る血液、燃え盛る炎、響き渡る悲鳴…。正視できるか、興奮でチ○ポがギンギンになるか、貴男はどちらだろう。
作品の元になっているのは、今、何かと話題の少年法である。が、単にその是非を問うたり、意見を押し付けようとしたりする作品ではない。
愛する一人息子を、ゲイの仲間からの集団リンチで殺されてしまった男。が、犯人の少年たちは法で守られ、数年で出所してきたのだ。それを知った男は、彼らを拉致、監禁して、復讐の拷問を加えていく。息子の味わった苦しみと同じように、いやそれを何倍にもして。が、その拷問の最中、オトコの心の中には別の感情が湧いてきてしまって…。
愛する息子、その息子のゲイとしてのセクシャリティーを絶対に認めなかった父。が、死んでしまった息子から、復讐という行為を通して教わっていくもの…。まさに、究極の愛の映画である。
さて、前述のように、監督のカジノはこの映画が第1回監督作品である。およそデビュー作とは思えない圧倒的な出来栄えで、絶大なる評価を受け、2000年のピンク映画大賞で、ゲイ映画でありながら最優秀新人監督賞を受賞した。そのことだけでもこの映画の凄さが分かってもらえるだろう。
SMを超えた、SM。映画タイトル『鎖縛 SABAKU』がそれを表している。