「謎の円盤UFO」はジェリー・アンダーソン初の実写版TVシリーズである。
子ども向け特撮人形劇の原点とも呼べる「スティングレイ(海底大戦争)」(1963)や
「サンダーバード」(1964)を経たのちの1970年、1シーズン26話で完結した。
同じくアンダーソン作品である「キャプテン・スカーレット」(1967)をさらにシリアスにした舞台設定とでも言おうか。
1980年近未来、謎の宇宙人を撃退すべくハイテク秘密組織「SHADO(シャドー)」はひそかに戦いを続けていた。
SHADOの司令官を演ずるのはエド・ビショップ(先の「キャプテン・スカーレット」や「決死圏SOS宇宙船」(1969)にも出演)
どこを取ってもイギリス作品である本作で、彼の肩書きはアメリカ空軍大佐である。
一連のアンダーソン作品にたがわず、「謎の円盤UFO」も当時の技術の粋を集めた画期的な作品であり、
ツッコミどころ満載の展開も特色のひとつだ。
従来のアンダーソン作品に比べるとストーリーも内容も大人向けであり、
人間の本質を割り切ってとらえた観点といい、陰うつな結末といい、作品の印象は驚くほど暗く、
「Xファイル」や、やはり1シーズンのみで終了した「ダークスカイ」(1996)の前身とも言える存在。
バリー・グレイ作曲の印象的なテーマソングとムードあふれる音楽が作品全体を大きく盛り上げている。
現代の基準に照らせばはなはだしく性差別的な描写あり、未来戦争の前線より女装パーティ向きとおぼしき
人目を引くコスチュームありではあるが当時はそのハイセンスな作りで熱狂的なファンを獲得し、
「スペース1999」(1975)への道筋をつけた番組である。
製作総指揮・製作・原案: ジェリー・アンダーソン
製作: レッジ・ヒル 原案: シルビア・アンダーソン
撮影監督: ブレンダン・スタッフォード 特殊効果監督: デレク・メディングス
美術監督: ボブ・ベル 音楽: バリー・グレイ
出演: エド・ビショップ/マイケル・ビリングトン/ジョージ・シーウェル/ガブリエル・ドレイク
声の出演: 広川太一郎/羽佐間道夫/小林昭二/松島みのり