すでにDVDが過去2回リリースされている作品ですが、ジャケットデザインと解説文はこれが一番ステキ・大好き。
ヒロインは小川恵。キャンディーズの伊藤蘭(ランちゃん)を思わせる魚顔で愛嬌があって良い意味でチョイブスで色白で隙のある雰囲気で
ピンク映画情報誌「ZOOM-UP SELF」の創刊号の表紙も飾り、連載エッセイ「小川恵 気まぐれ日記」のコーナーも持っていました。
78年のにっかつロマンポルノの「さすらいの恋人 眩暈」も素敵だった。「幸せすぎて怖い」と男の肩に強くしがみつくシーンは燃えました。
今は亡き銀座シネパトスで「ぼくらの季節」と2本立てで初めて見たときはそれほどの映画?と期待が大きすぎて落胆したのを覚えてますが全シナリオライター必見の作品ではないでしょうか。シナリオライターでも何でもない私が言うのもなんだけど。
小川恵と楠正通の2人の出会いの描写からして完璧に近い。
路上でぶつかって、当日締切で投函する予定のシナリオが泥まみれになって
2人で協力して喫茶店で1から原稿用紙で書き直すハメになる
どうにもとまらない心の炎も切なく、そして激しく歌い上げる哀愁のフレンチポップスになりました。
恋人のために変態プロデューサーに身を捧げ、様々な体位を試されながら
バックでガンガン犯される豪田路世留の表情が忘れられない
シナリオは映像化されるもオンエアを見たら原型を留めないほど改竄されていて、その事実に絶望し、ガス自殺を遂げるアベック。
楠正通演じるシナリオライター志望の恋人のために良かれと思って、エロデューサーと肉体関係を持つ小川恵がまた切なくて
中島貞夫監督の「実録外伝 大阪電撃作戦」の松方弘樹と片桐夕子の関係を思い出すものがある
監督と脚本家の実体験も交えているのではないかと思わせる一見華やかなエンタメ業界の内幕がスリリング。
楠正通もイノッチ・うじきつよしに似ている気がする。ピンク映画版「傷だらけの天使」の「残虐SEX 恥ずかしめ」で水谷豊役を演じていた。
時間軸も後のタランティーノ作品に先駆けてトリッキーで錯綜していて、これがデビュー作だという脚本の水越啓二の才能が空恐ろしい。
中村幻児監督の「赤い娼婦 突き刺す」のビデオが仮に存在していたら、66,666円までなら出せますので、どなたか是非出品してください。
YMOの「Insomnia」が割と頻繁に流れますが、個人的希望としてはキスマラソンのシーンで「La Femme Chinoise」を流してほしかった。
タイトルとエンドマークが出るときに原版フィルムに起因するチン毛ノイズが走るのが昔のレトロな映画の雰囲気が出ていて好きですね。